state of LOVE
聖奈を庇うために身を屈めて抱き締めたのと、大介さんの手が俺に当たったのはほぼ同時で。
小気味良い音が響いたものの、さすがに平手打ちだっただけに吹っ飛びはしなかった。
「マナっ!」
「…ってー。結構痛いよ、これ」
「当たり前です!誰だと思ってるんですか!」
「お前のじーちゃん」
「どうして庇ったりするんですか…」
「いや、だって殴られたらいてーじゃん。お前が殴られんのヤだし」
「セナは慣れてるんです。平気なのにっ」
「そういや俺…初めて人に殴られたわ」
うちの両親も祖父母も、絶対に子供には手を上げない人達だった。だから俺は、人に殴られる痛みをこの年まで知らずに育った。良い経験をさせてもらった。と、喜ぶべきなのだろうか。
「いけるかー?愛斗」
「大丈夫っす。何か…楽しそうっすね、ハルさん」
「ん?俺には出来んことやからな」
本当は、ハルさんだって同じ思いを抱えていたのだろう。
ちょっとした悪戯がバレて腕を捩じり上げられたことはあるけれど、反対だとも別れろとも言われたことがない。きっと、無理やり呑み込んだのだ。そう思うと、ジンジンと残る痛みさえ喜ばしいものだと思えてくるのが不思議だ。
「僕が手を出しました。僕の責任です。すみません」
今にも泣き出しそうな聖奈に美緒を押し付け、肩を震わせて拳を握ったままの大介さんに向き直る。
正座に土下座
お嬢さんをください!のシュチュエーションだな。と、遠くでそんなくだらないことが過った。
「マナは悪くないですよ!言いつけを守らなかったのはセナです!」
「お前は黙ってろっつってんだろ。下がれ」
「でも…」
「男同士の話だ。お前が首突っ込んでいいことじゃない。下がれ!」
もうこうなりゃどうにでもなれだよ。と、胸倉を掴まれる準備も、殴られる覚悟も万端で。聖奈を下がらせて大介さんを見上げると、視界の隅にちょこちょこと小さな姿が映った。
小気味良い音が響いたものの、さすがに平手打ちだっただけに吹っ飛びはしなかった。
「マナっ!」
「…ってー。結構痛いよ、これ」
「当たり前です!誰だと思ってるんですか!」
「お前のじーちゃん」
「どうして庇ったりするんですか…」
「いや、だって殴られたらいてーじゃん。お前が殴られんのヤだし」
「セナは慣れてるんです。平気なのにっ」
「そういや俺…初めて人に殴られたわ」
うちの両親も祖父母も、絶対に子供には手を上げない人達だった。だから俺は、人に殴られる痛みをこの年まで知らずに育った。良い経験をさせてもらった。と、喜ぶべきなのだろうか。
「いけるかー?愛斗」
「大丈夫っす。何か…楽しそうっすね、ハルさん」
「ん?俺には出来んことやからな」
本当は、ハルさんだって同じ思いを抱えていたのだろう。
ちょっとした悪戯がバレて腕を捩じり上げられたことはあるけれど、反対だとも別れろとも言われたことがない。きっと、無理やり呑み込んだのだ。そう思うと、ジンジンと残る痛みさえ喜ばしいものだと思えてくるのが不思議だ。
「僕が手を出しました。僕の責任です。すみません」
今にも泣き出しそうな聖奈に美緒を押し付け、肩を震わせて拳を握ったままの大介さんに向き直る。
正座に土下座
お嬢さんをください!のシュチュエーションだな。と、遠くでそんなくだらないことが過った。
「マナは悪くないですよ!言いつけを守らなかったのはセナです!」
「お前は黙ってろっつってんだろ。下がれ」
「でも…」
「男同士の話だ。お前が首突っ込んでいいことじゃない。下がれ!」
もうこうなりゃどうにでもなれだよ。と、胸倉を掴まれる準備も、殴られる覚悟も万端で。聖奈を下がらせて大介さんを見上げると、視界の隅にちょこちょこと小さな姿が映った。