state of LOVE

 過去と未来と幸せの彩

足の痺れに耐えること数分。

ハルさんとケイさんに足を触られながら悶える俺を見て、メーシーはニヤニヤと嬉しそうにしていた。

何て父親だ!と言いたいのはやまやまなのだけれど、如何せん「あー!」としか言葉が出てこないものだから、暫くはそれも叶わなかった。

「ホント、マジでやめてくださいって。please」
「嫌やねー」
「何子供みたいなこと言ってんですか。大人げない!大人げ!」
「そんなもんあるかい。俺の娘持ってきやがって!」
「せや!もっとやったれ晴人!」

俺を押さえ付けるケイさんと、攻撃してくるハルさん。そこに、「何かが始まった!」と言わんばかりに目を輝かせた美緒が加わってくるものだから、手の出しようがなかった。

「だー!」
「美緒、だーじゃねーから。メッ!だ」
「めー!」
「そだ。とーちゃんのためにじーちゃんやっつけろ」
「とーちゃ」
「え?お前今とーちゃんって言った?stop!ハルさん!ケイさん!stopですって!」
「ん?」
「美緒、もっかい言ってみ?」

押さえ付けられていた体を起して美緒を抱き上げると、嬉しそうに小さな手が伸びてくる。そして、そのまま俺にペタリとひっ付いて美緒は頬を寄せた。

「とーちゃ」
「ほら!今とーちゃんって言いましたよね!?」
「おぉー!言うた、言うた!」
「偉いぞ、美緒。さすが俺の子」
「とーちゃ。とーちゃ」
「美緒、じーちゃん、は?」
「じー」
「おぉー!可愛い奴め!」

「もう…いい加減にしてくれませんか?」

デレデレと鼻の下を伸ばす俺とハルさんに向かって、聖奈の冷たい一言が突き刺さる。恐る恐る振り返ると、それはそれは冷たい視線が寄越されていた。

「何だよ。また妬いてんのか?かーちゃん」
「違いますよ。今からおにーさまと美緒ちゃんのママについてのお話をするんです。騒ぐなら他でやってください」
「あ…そっか」

俺的一大事を終えたものだから気が緩んでしまったけれど、大介さんがここに来た目的はそれだったはずだ。もう一度気を引き締め直すために立ち上がり、腕を伸ばす美緒を再び抱き上げて聖奈の隣の椅子を引いた。

「すみません」
「いやいや。ええんや。聖奈とゆっくり話出来たしな」

怒りを収めてしまえば、大介さんはとても穏やかな人で。見た目や話し方はまるっきりその筋の人なのだけれど、それをカバー出来る空気があるのはさすがちーちゃんのお父さんだな、と思う。
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