最低最悪男子はあたしです
腕を組まれて暑苦しい、と思いながら帰っていると靴箱にもたれかかっている女の子がいた
彼女との距離が段々縮まって行き、彼女が俯いているのがわかる
なーんとなく見たことのある女の子
近づいて行くとその女の子はあたしの前に立ちはだかった
「………」
あたしの前に立ちはだかるが、無言のその子
その子の付けまつ毛…じゃなくて瞳からは涙があふれていた
っていうか、この女の子見たことあるんだけど…、と頭の隅で考えていると
「その人、誰…ですか?」
と尋ねられた
するとあたしが答える前に
「私はぁ、紫音くんの彼女のぉ、彩織でぇっす」
語尾に絶対ハートが付いていそうなその猫なで声の話し方に、背中がゾクリと震えたが顔に出さないように笑顔をキープさせた
そんなあたしが笑いを堪えて頑張っている中…
あたしの目の前で女たちの戦いが始まった
「紫音くんは私の彼氏よ」
そう言ってまつ毛から、………瞳から涙を溢れさせる女の子
顔が童顔だから泣いたら余計童顔に見えてしまう…
童顔といえば!!
あたしの1番目の彼女って童顔だった!
てことは…
そこまで考えて1番目の彼女の顔を思い出した
うん、この子だ
この泣いている子があたしの1番目の彼女だ
ゴメンね~、忘れてた