最低最悪男子はあたしです



断られたんだから諦めろよ、と思いつつ


「ゴメンね」


ともう一度言う


そうすればしぶしぶと女たちは下がって行った



それを見た槐があたしの周りに女がいなくなったころを見計らって



「あー、吐きそうだった…」



と言いだす



これをわざわざ女の前で言わなかったのは、槐が本当は優しいからだと思う


だから槐にはあたしみたいに女を振って楽しむのは合わない




あたしみたいに性格が歪みきっていなければ、そんなことをしていたら罪悪感で潰されるかもしれない




「顔面塗り絵の女多いなー」


と、あたしの隣を歩く槐が呟く



強ち間違ってはいない



「あれは酷いよな」


と、同意してみれば、あたしが答えたのが嬉しかったのか



「油絵みてぇに浮き出てるよな!!」



と楽しそうに言いだした



さっきの愛想笑いがなくなっていて、なんとなくホッとしながら槐の話しに耳を傾ける




「香水ぶっ掛けたような匂い放ってる上に、化粧の匂いが混じっててもう最悪


気持ちわりー…」



とゲンナリした様子を見せる槐



お疲れ様です…








< 68 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop