secret
食事だって作らせる。
「出来上がりました」
そして、彼も同じ席で一緒に食べる。
執事じゃないから。
あくまで下僕だから。
「……泉が執事になったら、もうこんな風に一緒にご飯食べることもなくなる?」
「そうですね」
「……つまらなくなるわ」
下僕……でも、わたしにとっては親友のようなものだった。
親友から、人につかえる仕事に。
「やっぱり、納得できない」
「仕方がないのです。……父はここを辞めようとしています」
――初耳。
「何それ、どういうこと?」
「少し、やりたいことが見つかったそうです。そこで、今までずっと見て来たこの家は、僕に任せるのが適任だと言っていました」
……黒沢さんまで、出て行っちゃうのか……。