secret
「……お、おはようございます、お嬢様……」
顔を真っ赤にしたまま苦笑いで、そっと手を離した泉。
わたしも顔に熱が集まっているのがわかる。
というか、結構顔が近いんだけど。
そんな真っ赤な泉が可愛いとか思った自分はおかしい。
だから離された手を布団の中に引っ込めて、布団を顔の上まで引っ張って隠した。
「お、おはよ!昨日はどーも!」
「……あの、お嬢様、怒って……?」
「お、怒ってなんてないんだから!!」
うわ、今のわたしすごく可愛くない!
別にいつも可愛いとか愛想とか意識しているわけじゃないけど。
「えと、あの……お食事の準備に行ってきますね」
少し上擦った声から、きっと泉も緊張?なのかしらこれ?同じような気持ちになっていることがわかる。
ドアの開閉音がした後、わたしはすぐに布団から出た。
さっきより少し心音が大きくなっているような気がする。
泉の癖に、泉になんかにこんなにさせられるなんて信じられない!