なんだ、君がいた。
大きく息を吸い込む。
「あのー!」
さっきと同じように叫んでみる。
すると、男の子は向こう側で口をパクパクする。
なに?と言っているようだ。
でも声は聞こえない。
叫ばないと聞こえないのかな…。
私は近くにある紙をとり、それを指差す。
男の子は分かったようで、手をポンっと叩く。
私はその紙に文字を書いていく。
『名前は?』
男の子はそれを見て、すぐに何か書き出す。
『三谷奏太
そっちは?』
ミヤ カナタ。
字、上手い。
『アヤナ』