なんだ、君がいた。
そこには、上半身裸の男の子。
男の子は机の上にある写真を手にとり、すぐに机に置く。
そして、その手をスボンにかける。
そ、それ以上は…
「だめーっ!」
男の子はびっくりしたようにこちらを向く。
びっくりしたのは、こっちも同じ。
だって彼は、奏太だから。
奏太は紙に文字を書いていく。
『彩菜?』
ああああああ…!
本物だ。本物の奏太だ!
「そーたあああああ!」
思わず泣いてしまった。
五年前に聞いた電話番号にかける。
「もしもし」
初めて聞く、低い、ソウちゃんの声。
「何泣いてんだよ」
鏡の向こう側で奏太は笑っていた。
-fin-