太陽に届く場所
囚われの小鳥
「新刊出すわよ」
部長の命令で、僕は漫画を描いている。というか、書かされている。
僕……藍川彰(あいかわあきら)は、文芸部とは名ばかりのただの漫画系同人サークルで漫画を描いている、アマチュアの漫画家だ。
昔から漫画が大好きで、中学生の時にちょっと有名な漫画の新人賞で佳作に入ったことがあって、地元ではちょっとした有名人だったんで、高校に入ってすぐに文芸部の部長に目を付けられ、少々強引に勧誘されて、ここで同人誌を出すお手伝いをすることになった。
うちの部……というかサークル?のメンバーは部長をはじめ女子ばっかりで最初は恥ずかしかったけど、男子もいないわけじゃないし、もう慣れた。
内容はどんなものでも、やっぱり漫画を描くのは楽しい。
「あ」
インク壺にペン先を浸そうとして、それの中身が尽きかけていることに気づいた。
「インク、そろそろストックもなくなる頃なんで、買い出し行ってきます」
そう言って席を立つと、原稿のチェックをしていた部長が「ついでに何か甘いものとお茶買ってきて~」と言いながらウインクを飛ばす。
「了解です。じゃあ僕ちょっと抜けますね」
部室を出て、自転車置場へ向かった。
僕のお気に入りの、スカイブルーの自転車に跨がって、学校の近所の商店街へ向かう。
最初に、商店街の入り口付近にある文房具屋も兼ねた書店に入った。
若い女性の店長さんが、店に入ってきた僕を見つけると、すぐにいつものインクとペン先の箱を出してくれる。
このお店では僕たち文芸部は常連で、いつも同じものを買っていくから、僕ら部員が来店すると、こうして何も言わずに店長さんや店員さんがよく買う消耗品を出してくれるようになったのだ。
「そろそろ来る頃だと思ってたわ」
店長さんが素敵な笑顔を向けた。
「いつもありがとうございます」
「どういいたしまして。イベント近いんだものね。頑張ってね」
店長さんがインクやペン先を袋に詰めながら微笑む。
「頑張ってきます!」
言いながら会計を済ませ、僕はお店を出た。
商店街の小さなドラッグストアで、部長のお気に入りのクッキーとミルクティーの大きいペットボトルと、甘いのがあまり好きじゃないメンバーの為に緑茶のペットボトルも買って自転車のかごに積んで、学校へ帰る。
自転車置き場に自転車を停めて、グラウンドの向こうに見える旧校舎の5階にある部室を目指す。
部長の命令で、僕は漫画を描いている。というか、書かされている。
僕……藍川彰(あいかわあきら)は、文芸部とは名ばかりのただの漫画系同人サークルで漫画を描いている、アマチュアの漫画家だ。
昔から漫画が大好きで、中学生の時にちょっと有名な漫画の新人賞で佳作に入ったことがあって、地元ではちょっとした有名人だったんで、高校に入ってすぐに文芸部の部長に目を付けられ、少々強引に勧誘されて、ここで同人誌を出すお手伝いをすることになった。
うちの部……というかサークル?のメンバーは部長をはじめ女子ばっかりで最初は恥ずかしかったけど、男子もいないわけじゃないし、もう慣れた。
内容はどんなものでも、やっぱり漫画を描くのは楽しい。
「あ」
インク壺にペン先を浸そうとして、それの中身が尽きかけていることに気づいた。
「インク、そろそろストックもなくなる頃なんで、買い出し行ってきます」
そう言って席を立つと、原稿のチェックをしていた部長が「ついでに何か甘いものとお茶買ってきて~」と言いながらウインクを飛ばす。
「了解です。じゃあ僕ちょっと抜けますね」
部室を出て、自転車置場へ向かった。
僕のお気に入りの、スカイブルーの自転車に跨がって、学校の近所の商店街へ向かう。
最初に、商店街の入り口付近にある文房具屋も兼ねた書店に入った。
若い女性の店長さんが、店に入ってきた僕を見つけると、すぐにいつものインクとペン先の箱を出してくれる。
このお店では僕たち文芸部は常連で、いつも同じものを買っていくから、僕ら部員が来店すると、こうして何も言わずに店長さんや店員さんがよく買う消耗品を出してくれるようになったのだ。
「そろそろ来る頃だと思ってたわ」
店長さんが素敵な笑顔を向けた。
「いつもありがとうございます」
「どういいたしまして。イベント近いんだものね。頑張ってね」
店長さんがインクやペン先を袋に詰めながら微笑む。
「頑張ってきます!」
言いながら会計を済ませ、僕はお店を出た。
商店街の小さなドラッグストアで、部長のお気に入りのクッキーとミルクティーの大きいペットボトルと、甘いのがあまり好きじゃないメンバーの為に緑茶のペットボトルも買って自転車のかごに積んで、学校へ帰る。
自転車置き場に自転車を停めて、グラウンドの向こうに見える旧校舎の5階にある部室を目指す。