恋の始まりっていつですか?
はじめて。
病院につくとおかんが泣いてた。
「小夜。…お父さんが…。お父さんがね…」
「おかん、もー泣かんとって。これからはうちがおるから」
泣き崩れるおかんの肩を抱き、二人で座り込んだ。
涙はやっぱり出なかった。
昔から音羽の前以外で涙を出したことがない。
と言うか、出ない。
「おかん、おとんは?」
二人でおとんに会いに行った。
それから、葬式だなんだってバタバタして、きが休まる事がなかった。
「小夜」
「音羽」
最近音羽ともゆっくり話せて無かったから何故かそわそわしてしまう。
「小夜。もー明日から学校行けるんやんな?」
「…うん」
「そーかー。小夜が起こしてくれへんから俺、毎日遅刻やったんやで」
ふざけた様に笑う音羽。
「…。小夜、おいで」
その言葉を待っていたかの様に、音羽の胸の中に飛び込んだ。
「…ふっ…うっうっ… 」
やっぱり。っと音羽が呟いた。
「お前、ちゃんと言わなあかんやん。そしたら何時でもこやってしたるから」
「…言わんでも来てくれるクセに」
それもそーやなって言って頭をポンポンってしてくれる。
やっぱりうちは、ここでじゃないと泣けやんみたいやわ。
「…小夜」
「ん?」
「わりぃ」
「?」
ちゅっ
「?!」
「ごめん」
「お、音羽?え?!」
びっくりした。
あれは、キスや。