恋の始まりっていつですか?
<小夜side>
「……っ」
首もとに音羽が何度も噛みついてきて、うちの肌に赤い花をいくつも散りばめてくる。
それは、胸元にも。
何時もより低い声でうちの名を呼ぶ音羽は
きっとうちの知らない音羽なんだと思った。
うちの、知らない音羽……。
男の、音羽……。
「……お、とわ…………」
胸元にも吸い付く唇に、ゾクゾクと背筋が伸びた。
その背に、音羽の太くゴツゴツした指が添えられる。
力強い手。
男の手。
こんな音羽、知らない。