あなたに見守られながら・・・
その時、藤島くんの乗る飛行機の搭乗を知らせるアナウンスが聞こえてきた。
あぁ、もう行っちゃうんだ・・・
名残惜しそうに唇が離れる。
そのままギュッとあたしを抱きしめた藤島くんは、耳元で囁いた。
その言葉を聞いたあたしは、涙を流しながらただ頷くことしか出来なかった。
「じゃあ、そろそろ行くよ。」
あたしから離れて行った藤島くん。
藤島くんの背中が涙で滲んで見えないよ。
ゲートの近くまで行った藤島くんが、後ろを振り向く。
「詩音、俺、電話するからな!メールもするからな!何かあったらすぐに飛んで帰ってくるからな!だから、詩音、笑って!」
あたしは涙を拭いて、めいっぱいの笑顔で藤島くんに言った。
「藤島くん、あたし、大丈夫だから!だから・・・いってらっしゃい!克樹!」