Story **
ふ、とそう思う。



わたしは、心の中で小さく『美穂、ごめん』と呟いた。



でも、美穂にはバレたくないから



声のトーンを少し高くして



「もう寝よう」



「うん」



そんな会話を繰り広げる。



繰り広げると言っても、



たったの2秒だけど。



美穂がベッドから下りて、ソファベッドの方へ行ったのを確認すると下の方から掛け布団を引っ張り出す。



そして、自分の身体に被せる。



「おやすみ」



目をゆっくり閉じながら言う。



「おやすみ。蘭」



優しい美穂の声が静かな部屋に響くと同時にわたしは深い眠りに着いていた。
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