僕はノラ!〜あの人に〜

  「おーい」


  「ノラー」



いつも聞こえる…あの人の声…


いつもと何も変わらない…


   「夢か…」



少し残念がりながら…当たり前か!とため息を吐く


オバサンが僕に気付き近づいてくる…



「おはよう」


僕はいつものように頭を下げる

オバサンは丁寧な口調で話し掛けてくる



「すいませんが…ここら辺でノラ…野良犬見ませんでした?」


   「え?」


「これくらいの犬なんですけど…」


オバサンは軽く腰を落とし膝の高さで手を左右に振った



   まさか…?



僕は自動販売機の脇にあるミラーを見上げた



  「嘘だろ…」



そこにはオバサンと知らない人間が映っている…



< 15 / 57 >

この作品をシェア

pagetop