僕はノラ!〜あの人に〜

僕はオバサンの後を追い掛けた


公園の草村の中…

泥まみれになりながら…僕を呼んでいる…


   「ノラー」


  「どこなのー?」


諦める様子はない…

まるで親が子供を捜すかのように…


僕は見てられなくなり

オバサンを背後から持ち上げた…


   ヒョイッ


…なんて軽いんだ


その軽さが…ガンの恐さを教えてくれる…



  「オバサン!

  僕が捜すから…

 オバサンは休んでて…」

   「嫌よ…」


オバサンは涙を浮かべ俯(うつむ)いた…


「僕が絶対見つけるから…
    だから…

    ………   」


次の一言が…出てこない…


 《病院に行って!》


言わなくちゃ…


手遅れになる…


なんて言えば良いんだ…



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