僕はノラ!〜あの人に〜

結局…その一言が言えず…


僕は僕を捜す…

見つかる訳がないのに…


こんなことをする為に人間になった訳じゃない…

自分の無力さを噛み締めながら…

草木を掻き分ける…


  「もう良いよ…」


背後から聞こえるオバサンの声…


「もう良いから…

    ありがとう」



僕は唇を噛み締め…

オバサンを見上げた…


オバサンは遠くを見つめて…話しだす


「本当はね…

ノラがいなくなって安心したの…

私なんかを必要としてたら…野良犬として生きていけない…

本当は飼ってあげたい…

でも…それは人間のエゴなの…

ノラがそれを望んでるとは   限らないし…

   それに…」


オバサンは言葉を詰まらす…


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