僕はノラ!〜あの人に〜
  「ありがとう」


オバサンは優しく微笑み…続けた…


「でもね…もう遅いの…

なんだか疲れちゃって…

最近は…病院にも行ってないし…

もう…良いから…」


「なんでだよ!?

 なんで諦めるんだよ!」


僕は唇を震わせた…


オバサンは冷静に答える


「もう遅いの…」


「遅くないよ!
勝手なこと言うなよ…
残された人は…残された人はどうするんだよ!?」


「…もう良いの!!」


オバサンは机を叩き…頭を抱え込んだ


「そんなの…逃げてるだけじゃん…

僕は…僕達は…

どんなに情けなくても…生きることに妥協したりしない。

こんなことなら…人間になんて…」



ノラは立ち上がり…家を出ていった…




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