僕はノラ!〜あの人に〜
オバサンは黙り込み…窓の外を見つめる…
そこには犬を散歩さす夫婦の姿…
「ノラが望まない…」
オバサンがボソッと、こぼす…
「そうだよ…望まない…」
僕も言葉をこぼす…
オバサンは窓からノラに視線を戻し見つめた…
「望まないの…?」
「ノラは…望んでないよ…絶対に…」
オバサンは首を横に振り…もう一度問い掛けた…
「望んでないの?」
「…え?」
僕は言葉を失う
オバサンは少し強い口調で続けた
「ノラ!あなたに聞いてるのよ!」
僕はオバサンの言葉に驚いた
「え?なんで…?」
オバサンはフフッと鼻で笑い
「解るわよ!
始めは…まさかって思ったけど…
これは神様がくれた最後のプレゼントだと思って黙ってたわ」