僕はノラ!〜あの人に〜

《おかえりなさい…

どうでしたか?

   人間の世界は…》


ノラは、近くのベンチに腰を掛け…

その問い掛けに答え始めた


「最低だよ…

空気は悪いし…ゴミは多いし…
生きる事に対して中途半端だし…

悪い事ばっかりだよ…


でも…」



   《でも…?》



「僕は人間が好き!

すぐ怒って…笑って…

泣いて…

すごい勝手な生き物だけど…

僕は人間が大好きです!」


《そうですか…

それは良かった。

それでは…そろそろ…》



「ちょっと待って!

一つだけ聞かせて…」


 《なんですか?》


「あなたは誰ですか?」


《それは…

答える事は出来ません…》


「そっか…

じゃあ最後に一つだけ



ありがとうございました!」


ノラは空に向かって深々と頭を下げた


辺りが真っ暗になり…

期間が終わった事を理解させる…

ノラは…その場に座り込み…
意識が薄れていく…


そんな中…

かすかな声が聞こえた





《ありがとう…ノラ…》


< 49 / 57 >

この作品をシェア

pagetop