僕はノラ!〜あの人に〜
僕は…驚くしか反応が出来ない…
この大雨の中…人間が立っている。
本当に人間…?
その生き物からは何も伝わってこない…
雨に濡れ…長い髪が顔を覆い…
服は…もう雨を吸い込む余地がないほどに濡れている…
僕は気が付いた時には…
その少女の足元にいた。
「くぅ〜ん」
その少女から…切ない気持ちが伝わってくる
僕は何も言わず…
その場に座り込んだ…
何分経っただろうか…
少女の足がピクッと動く
「ありがと…一緒に濡れてくれたんだね。
もう良いよ。
風邪引いちゃうから…
私は良いの…洗い流してるだけだから…」
そう言い少女は軽く微笑んだ…
僕は動かない
「ほら…早く…」
なぜか解らない…
でも…離れたくなかった…