僕はノラ!〜あの人に〜
「もう…わからず屋…」
僕は少女にヒョイっと抱き抱えられ…自動販売機まで連れていかれた…
普段なら…ありえない…人間には近づかない…
まして抱き抱えられるなんて考えられない…
犬にはイメージを感じ取れる力がある…
どんなに笑顔で接してこようとも…
咬まれるかも…
と言うイメージが伝わってくる以上…僕は尻尾を振らない
でも…
この少女からは悲しみしか伝わってこない…
僕を見て微笑むだけ…
少女は自動販売機の脇に僕を降ろし…
上着を脱いだ。
「ごめんね…濡れてるけど」
そう言い…
上着を絞り…僕に掛けてくれた。
冷たいはずの服が…とても暖かい…
僕は…今の気持ちを伝えたくて…
一生懸命少女を見つめる。
伝わらないのは解ってる…
でも…一生懸命見つめる…