リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
短剣を突きつけられながらも、男が戸惑った声を出した。
「久しいな。ビスクール。」
まるで仇敵にでも会ったような、冷徹なリズヴァーンの返事に、男の肩が微かに揺れる。
「俺を覚えているなら、何故、俺に剣を向けるんだ…?」
「剣を納めるのだ。ならば、私も引こう。」
リズヴァーンの言葉に、ビスクールと呼ばれた男が、ゆっくりと剣を下ろし、鞘へと納める。
それを確認して、リズヴァーンも短剣を自分の足傍へと戻した。
そして、そのまま男の脇を抜け、未だ座ったままの望美のもとへと、足を進める。
「…先生。その人、知り合いなんですか…?」
差し伸べられる大きな手を取り、立ち上がりながら望美は尋ねた。
「馴染みの者だ。怖い思いをさせてしまって、すまない。」
「ううん。先生が謝ることじゃ…。」
「リズヴァーン。その女は何者だ?何故、ここに人がいる?」
二人の会話をさえぎるように、ビスクールが声をかけてきた。
リズヴァーンは静かに振り向き、望美の手を握ったまま口を開く。
「望美は、我が妻。共にここで暮らしている。」
優しい響きの声に、言葉に、望美は状況も忘れ、ぽっと頬を赤らめる。
あまり聞きなれない自分の呼び名に、望美の鼓動はさっきと違う音を奏でた。
…つっ、妻だって~!
望美は、恥かしいような、くすぐったい響きの音が妙にうれしくて、繋いだ手をぎゅっと握った。
リズヴァーンがそれに気づき、目元を緩め、望美へと視線を向ける。
それを聞かされたビスクールは、目を丸くしたままだったたが――…。
「望美。ビスクールだ。鬼の首領であり、同郷の者。」
リズヴァーンに顔を覗きこまれながら紹介を受けて、望美の頭には疑問符が浮かび上がる。
「…首領って、何ですか…?」
「鬼の長だ。」
「…じゃあ、偉い人ってことですか?ヒノエくんみたいに…。」
とりあえず、地位のある人ということで、仲間の名を上げてみれば、リズヴァーンが面白そうに笑む。
「…似たようなものだろう。」
「じゃあ、同郷って…?」
『何処の…?』とは言えなくて、望美は戸惑ったように、リズヴァーンを見つめる。
リズヴァーンは、少しだけ腰を屈め、望美の耳元に顔を寄せた。
「…やけどを負った後、世話になった里だ。」
囁くように言えば、望美はようやく納得したように、ニコッと笑った。
「久しいな。ビスクール。」
まるで仇敵にでも会ったような、冷徹なリズヴァーンの返事に、男の肩が微かに揺れる。
「俺を覚えているなら、何故、俺に剣を向けるんだ…?」
「剣を納めるのだ。ならば、私も引こう。」
リズヴァーンの言葉に、ビスクールと呼ばれた男が、ゆっくりと剣を下ろし、鞘へと納める。
それを確認して、リズヴァーンも短剣を自分の足傍へと戻した。
そして、そのまま男の脇を抜け、未だ座ったままの望美のもとへと、足を進める。
「…先生。その人、知り合いなんですか…?」
差し伸べられる大きな手を取り、立ち上がりながら望美は尋ねた。
「馴染みの者だ。怖い思いをさせてしまって、すまない。」
「ううん。先生が謝ることじゃ…。」
「リズヴァーン。その女は何者だ?何故、ここに人がいる?」
二人の会話をさえぎるように、ビスクールが声をかけてきた。
リズヴァーンは静かに振り向き、望美の手を握ったまま口を開く。
「望美は、我が妻。共にここで暮らしている。」
優しい響きの声に、言葉に、望美は状況も忘れ、ぽっと頬を赤らめる。
あまり聞きなれない自分の呼び名に、望美の鼓動はさっきと違う音を奏でた。
…つっ、妻だって~!
望美は、恥かしいような、くすぐったい響きの音が妙にうれしくて、繋いだ手をぎゅっと握った。
リズヴァーンがそれに気づき、目元を緩め、望美へと視線を向ける。
それを聞かされたビスクールは、目を丸くしたままだったたが――…。
「望美。ビスクールだ。鬼の首領であり、同郷の者。」
リズヴァーンに顔を覗きこまれながら紹介を受けて、望美の頭には疑問符が浮かび上がる。
「…首領って、何ですか…?」
「鬼の長だ。」
「…じゃあ、偉い人ってことですか?ヒノエくんみたいに…。」
とりあえず、地位のある人ということで、仲間の名を上げてみれば、リズヴァーンが面白そうに笑む。
「…似たようなものだろう。」
「じゃあ、同郷って…?」
『何処の…?』とは言えなくて、望美は戸惑ったように、リズヴァーンを見つめる。
リズヴァーンは、少しだけ腰を屈め、望美の耳元に顔を寄せた。
「…やけどを負った後、世話になった里だ。」
囁くように言えば、望美はようやく納得したように、ニコッと笑った。