リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
「女に骨抜き。と、言うんだ。」
一言、そう言って、ビスクールはまた笑い出す。
可笑しくてたまらないと言わんばかりに。
だが、次ぎに耳に届いたリズヴァーンの呟きに、ビスクールは、とうとう腹を抱えて笑うはめになった。
リズヴァーンは独り言のように小さく呟いたのだ。
「望美になら、何を抜かれても構わぬ」と。
ビスクールは笑い疲れて、縁側に横になったまま、大きな月をその瞳に写していた。
「はぁ…。やっぱり、お前は俺を楽しませてくれる。」
「そうか…?」
客を放り、幸せそうに女の髪を撫でながら酒を飲む友が、我関せずとばかりに、返事をする。
「あぁ。お前ほど、俺を笑わせるヤツはいない。」
「…勝手に笑い転げたのだろう?」
「そう思えるなら、相当の阿呆だな。」
ビスクールがニヤッと笑い、その顔をリズヴァーンへと向ける。
そして、女に腑抜けになった男をその瞳に移し、静かに口を開いた。
「――…だが、その阿呆も悪くはない。」
ビスクールはポツリと呟いた。
――…ずっと、ビスクールはこの阿呆な友を見てきた。
それこそ、幼い頃から、共に生きてきた。
昔からひたすらに、己と、剣だけを磨き、どこか影を背追って生きていた、友。
無口で、寡黙で、頑固者の友。
そして今では、愚かにも、女に腑抜けになった、友。
だが、この男が、もう、影を背負わずに、穏やかに生きていけるのならば。
この男が、幸せを手に、何者にも侵されず、笑って過ごせるならば。
――…友として、祝ってやってもいいと、思う…――。
ビスクールは幸せそうな友を傍らに、また、のんびりと月を眺める。
金色に輝く月は、金色に輝く髪を持つものたちを優しく照らし出していた。
一言、そう言って、ビスクールはまた笑い出す。
可笑しくてたまらないと言わんばかりに。
だが、次ぎに耳に届いたリズヴァーンの呟きに、ビスクールは、とうとう腹を抱えて笑うはめになった。
リズヴァーンは独り言のように小さく呟いたのだ。
「望美になら、何を抜かれても構わぬ」と。
ビスクールは笑い疲れて、縁側に横になったまま、大きな月をその瞳に写していた。
「はぁ…。やっぱり、お前は俺を楽しませてくれる。」
「そうか…?」
客を放り、幸せそうに女の髪を撫でながら酒を飲む友が、我関せずとばかりに、返事をする。
「あぁ。お前ほど、俺を笑わせるヤツはいない。」
「…勝手に笑い転げたのだろう?」
「そう思えるなら、相当の阿呆だな。」
ビスクールがニヤッと笑い、その顔をリズヴァーンへと向ける。
そして、女に腑抜けになった男をその瞳に移し、静かに口を開いた。
「――…だが、その阿呆も悪くはない。」
ビスクールはポツリと呟いた。
――…ずっと、ビスクールはこの阿呆な友を見てきた。
それこそ、幼い頃から、共に生きてきた。
昔からひたすらに、己と、剣だけを磨き、どこか影を背追って生きていた、友。
無口で、寡黙で、頑固者の友。
そして今では、愚かにも、女に腑抜けになった、友。
だが、この男が、もう、影を背負わずに、穏やかに生きていけるのならば。
この男が、幸せを手に、何者にも侵されず、笑って過ごせるならば。
――…友として、祝ってやってもいいと、思う…――。
ビスクールは幸せそうな友を傍らに、また、のんびりと月を眺める。
金色に輝く月は、金色に輝く髪を持つものたちを優しく照らし出していた。