リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
「ドコも痛くないし、弁慶さんトコだけは行きたくないです!」
「ダメだ。食欲もないのだ。これ以上、お前に何か起きてからでは遅すぎる」
縋るような目で訴えても、それでも、リズヴァーンは真顔できっぱりと、言い切った。
望美に何かがある前に、先手を打つ。
戦いの最中でも、運命を繰り返す中でも、すべてが終わった今でも。
それは、リズヴァーンの信念とも言えよう。
それが、あの「過保護」に繋がるんだと気付いていても、こればかりは、望美だって譲れない。
あんな、生き物の飲むものとは到底、思えない代物を、むざむざと飲まされるわけにはいかない。
(ってか。人体実験にされるのだけは、イヤ~~~っ!)
「え、ええっと、これから、頑張って食べるようにしますから!お願いです~~~っ!」
必死に、それはもう、懸命に。
それこそ、戦いのあと、あの楽園でリズヴァーンを説得したとき並に、望美は訴える。
だが、リズヴァーンも、一度決めたことを覆そうとはしない。
「調子も悪いのだろう?観念しなさい」
「そんなもんっ、出来ません!」
と。
いくら縋ってまで言ったとしても、到底、望美がリズヴァーンに敵うわけもなく。
その晩、必死にご飯を全部食べたのに、すぐに、また吐いてしまったのもあって。
トドメのように、朝方、ご飯を食べる前から、吐いてしまったから。
――…強制的に、望美はリズヴァーンによって、五条に連れて行かれた。
薬草の匂いが充満した部屋に、突然、隠行で現れた二人を見ても、微塵も驚いた様子を見せずに。
「……で。今日はどうしましたか?」
ニッコリと笑って、弁慶が出迎える。
ひとり、静かにお茶をすすっていたにも、関わらず、だ。
余程、肝が据わっているのか、神経のどっかが壊れている証拠だろう。
だが、今、ココでそれを突っ込めるような人はいない。
きっと、熊野か六波羅にでも、いるんだと、思う。
それはさておき。
「望美の体調がおかしい。診てはもらえないか?」
いつものように、勝手に弁慶の家へと上がりこんだリズヴァーンが、悪びれる様子も見せずに、穏やかな口調で言う。
そして、人身御供のように、望美をすっと、弁慶の前に差し出した。
「だから!なんでもないです!大丈夫です!私は元気ですっ!!!」
そう、望美は叫ぶのだけど。
リズヴァーンの腕は、望美の腰へと回され、逃げられないようにガッチリと抱いている。
どこにコツがあるのかわからないが。
たかが腕一本で動きを封じられている望美は、思い切り声を荒げた。
「は~な~し~て~!もう、お家へ帰る~~~ッ!!!」
注射を嫌がる子供のように、必死な形相で。
力の限り身を捩りながら、ただ、薬湯を飲みたくない一心で、望美はその腕から逃げ出そうとしていた。
「ダメだ。食欲もないのだ。これ以上、お前に何か起きてからでは遅すぎる」
縋るような目で訴えても、それでも、リズヴァーンは真顔できっぱりと、言い切った。
望美に何かがある前に、先手を打つ。
戦いの最中でも、運命を繰り返す中でも、すべてが終わった今でも。
それは、リズヴァーンの信念とも言えよう。
それが、あの「過保護」に繋がるんだと気付いていても、こればかりは、望美だって譲れない。
あんな、生き物の飲むものとは到底、思えない代物を、むざむざと飲まされるわけにはいかない。
(ってか。人体実験にされるのだけは、イヤ~~~っ!)
「え、ええっと、これから、頑張って食べるようにしますから!お願いです~~~っ!」
必死に、それはもう、懸命に。
それこそ、戦いのあと、あの楽園でリズヴァーンを説得したとき並に、望美は訴える。
だが、リズヴァーンも、一度決めたことを覆そうとはしない。
「調子も悪いのだろう?観念しなさい」
「そんなもんっ、出来ません!」
と。
いくら縋ってまで言ったとしても、到底、望美がリズヴァーンに敵うわけもなく。
その晩、必死にご飯を全部食べたのに、すぐに、また吐いてしまったのもあって。
トドメのように、朝方、ご飯を食べる前から、吐いてしまったから。
――…強制的に、望美はリズヴァーンによって、五条に連れて行かれた。
薬草の匂いが充満した部屋に、突然、隠行で現れた二人を見ても、微塵も驚いた様子を見せずに。
「……で。今日はどうしましたか?」
ニッコリと笑って、弁慶が出迎える。
ひとり、静かにお茶をすすっていたにも、関わらず、だ。
余程、肝が据わっているのか、神経のどっかが壊れている証拠だろう。
だが、今、ココでそれを突っ込めるような人はいない。
きっと、熊野か六波羅にでも、いるんだと、思う。
それはさておき。
「望美の体調がおかしい。診てはもらえないか?」
いつものように、勝手に弁慶の家へと上がりこんだリズヴァーンが、悪びれる様子も見せずに、穏やかな口調で言う。
そして、人身御供のように、望美をすっと、弁慶の前に差し出した。
「だから!なんでもないです!大丈夫です!私は元気ですっ!!!」
そう、望美は叫ぶのだけど。
リズヴァーンの腕は、望美の腰へと回され、逃げられないようにガッチリと抱いている。
どこにコツがあるのかわからないが。
たかが腕一本で動きを封じられている望美は、思い切り声を荒げた。
「は~な~し~て~!もう、お家へ帰る~~~ッ!!!」
注射を嫌がる子供のように、必死な形相で。
力の限り身を捩りながら、ただ、薬湯を飲みたくない一心で、望美はその腕から逃げ出そうとしていた。