リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
賢い人の会話は、望美の気付かぬ間に、進んでいく。
「――…黒龍、か……」
「ええ。それに朔殿がいますから、望美さんも安心されるのでは?」
ニッコリ笑う弁慶はそう言い残して、扉を出て行った。
――…残ったのは、途方に暮れている「元白龍の神子」と、深く考え込む「鬼」だけになった。
ストンと、扉が閉まる音を聞いてから、真っ赤な顔をしていた望美がポツリと呟く。
「………とりあえず、いろんな意味で、白龍を呼び出していいですか?」
「やめておきなさい」
弁慶の背を見送ったリズヴァーンが、小さな息を吐き、口元から手を放した。
ゆっくりと、望美はリズヴァーンを振り仰ぐ。
でも、リズヴァーンは顔を背けているので、その視線が合うことはない。
それでも、望美は呟き続けた。
「でも。一度、よーーく話し合わないといけないと、思っていたんですよねぇ……」
「神に殴りこむような態度は感心しない」
「いくら神様でも、やっていいことと、悪いことがあるでしょう?」
「――…アレは、白龍なりの祝福なのだろう?受け止めてやりなさい」
冷静な声で諭そうとするリズヴァーンに、望美は大きくため息をついた。
(――…白龍に悪気がないのは、分かるけど)
花に包まれる祝福がうれしくなかったのかと、問われれば。
宴もふくめて、ものすごく楽しかったのは、否めないケド。
これで、すべてが終わったんだって。
みんなが八葉から、解放されたんだって、すっごくうれしかったんだけど。
……ケド。
それでも、さぁ。
今更、こういうことでした!とか、言われても、ものすご~っく困る。
あの日、赤ちゃんを作りました!って、みんなでお祝いをしてしまったようで。
秘め事のはずなのに、アレほどまでに、あけっぴろげに騒いでしまったと思うと。
――…ものすごく、いたたまれないっ!
(ってか、この話って、弁慶さんが、面白おかしく、みんなに吹聴して回るんだよね?)
先生が、一瞬にして固まったとか。
私が頭から火を吹くほど顔を真っ赤にして、呆けていたとか。
みんなに、それはもう楽しそうに、話してまわるんだよね?
「――…黒龍、か……」
「ええ。それに朔殿がいますから、望美さんも安心されるのでは?」
ニッコリ笑う弁慶はそう言い残して、扉を出て行った。
――…残ったのは、途方に暮れている「元白龍の神子」と、深く考え込む「鬼」だけになった。
ストンと、扉が閉まる音を聞いてから、真っ赤な顔をしていた望美がポツリと呟く。
「………とりあえず、いろんな意味で、白龍を呼び出していいですか?」
「やめておきなさい」
弁慶の背を見送ったリズヴァーンが、小さな息を吐き、口元から手を放した。
ゆっくりと、望美はリズヴァーンを振り仰ぐ。
でも、リズヴァーンは顔を背けているので、その視線が合うことはない。
それでも、望美は呟き続けた。
「でも。一度、よーーく話し合わないといけないと、思っていたんですよねぇ……」
「神に殴りこむような態度は感心しない」
「いくら神様でも、やっていいことと、悪いことがあるでしょう?」
「――…アレは、白龍なりの祝福なのだろう?受け止めてやりなさい」
冷静な声で諭そうとするリズヴァーンに、望美は大きくため息をついた。
(――…白龍に悪気がないのは、分かるけど)
花に包まれる祝福がうれしくなかったのかと、問われれば。
宴もふくめて、ものすごく楽しかったのは、否めないケド。
これで、すべてが終わったんだって。
みんなが八葉から、解放されたんだって、すっごくうれしかったんだけど。
……ケド。
それでも、さぁ。
今更、こういうことでした!とか、言われても、ものすご~っく困る。
あの日、赤ちゃんを作りました!って、みんなでお祝いをしてしまったようで。
秘め事のはずなのに、アレほどまでに、あけっぴろげに騒いでしまったと思うと。
――…ものすごく、いたたまれないっ!
(ってか、この話って、弁慶さんが、面白おかしく、みんなに吹聴して回るんだよね?)
先生が、一瞬にして固まったとか。
私が頭から火を吹くほど顔を真っ赤にして、呆けていたとか。
みんなに、それはもう楽しそうに、話してまわるんだよね?