リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
なにせ、妊娠も初めてだし、よりにもよって、ココは自分のいた世界の常識が通用などしないところ。
産婦人科もなければ、育児書もない。
身近にそういう人がいたためしもないのだから、まったく、微塵も、分かるはずがない。
――…きっと、知識としてはリズヴァーンも、同じようなものだろう。
だからこそ。
「ええ、大丈夫よ。私がついているわ」
ニッコリと笑って、望美の手をぎゅっと握てくれる朔がどれほど、頼りがいがある存在に見えるのか。
この世界の姉とも慕う朔が、手を繋いでいてくれるというだけで。
心から、望美は安堵に包まれた。
――…よかった。ようやく、まともな人が、いた、と。
心強い味方に、望美が朔の手をぎゅっと握り返すと、朔が満面の笑みを浮かべて。
「でも、本当に、おめでとう」
心からうれしそうに、そう言って。
「望美とリズ先生の「やや」ですもの。きっと愛らしいお子が生まれるわね」
まるで、本当のお姉さんのように。
望美を見ながら、優しく笑って言ってくれた。
それがうれしくて。
自分のことのように、朔が喜んでくれる。
そのことが、あまりにうれしくて。
今まで、弁慶もリズヴァーンも、これほどまでに、喜んではくれなかったから。
ようやく、嬉々として喜んでくれる人が現れて。
(本当に、私たちの赤ちゃんを迎えてくれる人がいるんだ――…)
そう、心から思えた。
「朔……」
「大丈夫よ。何も心配など知らないわ。望美は「やや」のことだけを考えてあげて」
大きな信頼と。
包み込むような優しさと。
絶対的な、その深い愛情が。
真っ直ぐに、自分とお腹にいる赤ちゃんに向けられているのが、ものすごく、よくわかる。
そうすると、ものすごく素直に、神様から小さな命を授かったのだと。
愛しい人の赤ちゃんが、お腹に出来たのだと、そのうれしさと共に、実感した。
「……ありがとう、朔。本当にありがとう」
うれしそうさで、ほんの少しだけ目に涙を溜めて、望美は笑みを零した。
「いいのよ、望美。でも、そういうことは、ココに来て、始めに言って欲しかったわ」
咎めるような言葉なのに、朔は上機嫌な、楽しそうな声で笑いながら言った。
「ん~、でも、何か、会ってすぐって、恥ずかしいし」
朔に喜ばれて、ようやく実感できたとは、口が裂けてもいえなくて。
望美は、バツが悪そうな、でも、はにかむような、笑みをみせる。
「恥ずかしいことなんてないわ。喜ばしいことでしょう?」
「そ、そうなんだけど。今朝まで、なんともなかったのに、いきなり言われても、ねぇ?」
「あら、望美ったら、戸惑ってしまったのね。でも、悪阻とかは、あるのかしら?」
「あることはあるケド。って、あったから、弁慶さんトコに強制連行されたんだけど……」
産婦人科もなければ、育児書もない。
身近にそういう人がいたためしもないのだから、まったく、微塵も、分かるはずがない。
――…きっと、知識としてはリズヴァーンも、同じようなものだろう。
だからこそ。
「ええ、大丈夫よ。私がついているわ」
ニッコリと笑って、望美の手をぎゅっと握てくれる朔がどれほど、頼りがいがある存在に見えるのか。
この世界の姉とも慕う朔が、手を繋いでいてくれるというだけで。
心から、望美は安堵に包まれた。
――…よかった。ようやく、まともな人が、いた、と。
心強い味方に、望美が朔の手をぎゅっと握り返すと、朔が満面の笑みを浮かべて。
「でも、本当に、おめでとう」
心からうれしそうに、そう言って。
「望美とリズ先生の「やや」ですもの。きっと愛らしいお子が生まれるわね」
まるで、本当のお姉さんのように。
望美を見ながら、優しく笑って言ってくれた。
それがうれしくて。
自分のことのように、朔が喜んでくれる。
そのことが、あまりにうれしくて。
今まで、弁慶もリズヴァーンも、これほどまでに、喜んではくれなかったから。
ようやく、嬉々として喜んでくれる人が現れて。
(本当に、私たちの赤ちゃんを迎えてくれる人がいるんだ――…)
そう、心から思えた。
「朔……」
「大丈夫よ。何も心配など知らないわ。望美は「やや」のことだけを考えてあげて」
大きな信頼と。
包み込むような優しさと。
絶対的な、その深い愛情が。
真っ直ぐに、自分とお腹にいる赤ちゃんに向けられているのが、ものすごく、よくわかる。
そうすると、ものすごく素直に、神様から小さな命を授かったのだと。
愛しい人の赤ちゃんが、お腹に出来たのだと、そのうれしさと共に、実感した。
「……ありがとう、朔。本当にありがとう」
うれしそうさで、ほんの少しだけ目に涙を溜めて、望美は笑みを零した。
「いいのよ、望美。でも、そういうことは、ココに来て、始めに言って欲しかったわ」
咎めるような言葉なのに、朔は上機嫌な、楽しそうな声で笑いながら言った。
「ん~、でも、何か、会ってすぐって、恥ずかしいし」
朔に喜ばれて、ようやく実感できたとは、口が裂けてもいえなくて。
望美は、バツが悪そうな、でも、はにかむような、笑みをみせる。
「恥ずかしいことなんてないわ。喜ばしいことでしょう?」
「そ、そうなんだけど。今朝まで、なんともなかったのに、いきなり言われても、ねぇ?」
「あら、望美ったら、戸惑ってしまったのね。でも、悪阻とかは、あるのかしら?」
「あることはあるケド。って、あったから、弁慶さんトコに強制連行されたんだけど……」