リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
それは、時空を渡り歩いた望美には、簡単に予測が出来た。



(――…素直に喜んでくれない理由も、その辺、なんだろうなぁ)

長い付き合いとは、いいところも、悪いところも、すべて知ることと一緒だ。

それでも、先生が好きだと言う気持ちが消えないんだから。

私から顔を背けて、目の前でうなだれられても。

「ホント、この人、どうしてくれよう」と、心から思わせてくれるような人でも。

それでも、そんな先生が愛しくてたまらないのだから。

(あ。もしかして、私も、どうしてくれよう、って言われるほうの人なのかなぁ……?)

そう思うと、微妙に、凹みたくなった。
「……ま。あの時みたく先生が消えちゃっても、私一人で、立派に産んでみせるから、きっと大丈夫!」

そういき込んで、とりあえず、暗くなりそうな心に蓋をする。

折角、大好きな親友が、私と一緒に喜んでくれているのだ。

今は、素直な気持ちで、一緒に喜んでいたい。

ってか、情けなくなろうが、どうしようが、このお腹には、先生との赤ちゃんがいるは事実なんだから。

私のために、赤ちゃんのために、って、いろんなことを考えてくれる人がいるのだから。

不安なんて、見せるわけにいかない。

「それに、たとえ先生が逃げても、絶対にとっ掴まえて、責任とってもらうケドね」

望美はぱっと、視線を朔に戻して、ニコッと笑った。




先生が、また、目の前から消えてしまうかもしれないなんて。

もしかしたら、先生に、想いが届かないかもしれないだなんて――…。

そんなコトを考えてしまうと、ものすごく、怖くて、心が揺れるけど。

朔にまで、この不安を与えるわけにはいかない、と思う。

(それに――…)

もしかしたら、先生が私たちの子を、望んでいないだなんて――…。

怖すぎて、口にもしたくない。
< 59 / 99 >

この作品をシェア

pagetop