リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
「――…望美」

どこか心配そうな顔をする朔に、望美は楽しそうに笑った。

「平気だよ。諦めさえしなきゃ、きっと、何とかなるから。だから、大丈夫!」

まるで、戦いのときのように、自信満々にそう言い切る。

――…まるで、自分に言い聞かすように。

笑いながら、力強く、望美は拳を掲げた。

そんな、おどけたような望美に、朔は小さな息をついて、苦笑を零す。

「望美。一人じゃないわ。私もいるのよ。忘れないで」

「うん。頼りにしてるよ。もし、先生がいなくなったら、今度は一緒に捕まえに行こうね」

どこか茶化したように言いながら、望美は笑みを深めた。

でも。

「――…その必要はない」

不意に届いた、呆れたような音色の声に、望美と朔はパッと、振り返る。

神子たちの視線の先には、御簾を潜るリズヴァーンと黒龍の姿があった。

「私は逃げも、隠れもせぬ。無用な心配だ」

ゆっくりと部屋の中へと歩み寄るリズヴァーンに、望美はバツ悪そうに視線を泳がせる。

「……先生。立ち聞きはちょっと、どうかと思いますよ?」

「私の気配に気付かないとは、鈍ったか」

しれっとした顔で言うリズヴァーンに、望美はむっとした顔を見せた。

「私のせいにしないでください」

「余計なことを考えているから、気付かないのだろう?」

「よ、余計なコトって――…」

目を剥いて声をあげる望美の傍に腰を下ろし、リズヴァーンはその瞳をまっすぐに見つめた。









「何を考えたかは知らぬが、私は、お前を手放す気はない」

きっぱりと、真面目な顔をして、リズヴァーンは言い放つ。
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