リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
また、一生懸命、望美の気持ちを汲み取ろうとしているようにも見えた。

そんな瞳を、愛しい人に向けられては。

……もう、素直に降参するしかない。

それを悟った望美は、諦めたように小さく、ため息を吐いた。

「……ただ、赤ちゃんが先生に望まれてないのかなぁとか思ったら、悲しくなっただけです」

ポツリと、正直に小声で零すと。

今度は、誰の目にもわかるぐらいに、リズヴァーンが目を見開いた。

「そのようなことは――…」

「――…じゃあ、先生は赤ちゃんが出来てうれしいって、思います、か?」

笑っても、くれないのに。

一緒に、喜んでも、くれないのに。

望美は、リズヴァーンを真っ直ぐに見つめて、心にあった疑問を素直に、尋ねた。

「私たちに赤ちゃんが出来て、うれしいって少しでも、思ってくれてるんですか?」

「無論」

だが、リズヴァーンは何を思ってか、望美の言葉に即答する。

「私と一緒に、……本当に、喜んでくれてるんですか?」

泣きそうになりながら、ゆるりと視線を落としながら、小さな声で言えば、リズヴァーンが少しだけ口ごもった。

「――…お前こそ、喜んでいたのか?」

「え?」

ポツリと零された言葉に、望美はパッと、顔をあげる。

そこには、どこか戸惑うような青い瞳が、望美を見つめていた。

「私との子が出来て、お前はうれしいと思うか?」
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