リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
「…からかっているのですか?」

望美と同じような顔つきで見上げられ、リズヴァーンが苦笑する。

「いや。事実だ。」

「…まったく。いつになれば母上は、ご自分が身重だと自覚されるのでしょう?」

父の言葉に嘘はないと知っているセヴィロスは、呆れたように呟いた。

「自覚はあるのだろう。」

「ですが、自ら危険に飛び込むのでしょう?それでは生まれてくる子が可哀想です!」

真っ直ぐリズヴァーンの瞳を見ながらセヴィロスが、怒ったように言い切る。

リズヴァーンはその言葉に目元を緩ませ、ゆっくりと口を開いた。

「セヴィロス。お前の母は、自らが正しいと思ったことを行うのだ。」

「それで、お腹にいる子供が、どうなろうと、ですか?」

「いや、そうではない。そのすべてを守ろうとするのだ。」

「でも、危険なことに巻き込まれて、母が倒れては、お腹の子も共倒れです!」

「問題ない。アレは強い。そう簡単に倒れはせぬ。」

絶対的自信の元に語られる言葉に、一瞬、セヴィロスは言葉に詰まり、俯く。

「母上が強いのは、知っています。ですが、僕は心配なんです。」

ポツリと、悔しそうに零された言葉に、リズヴァーンがフッと、笑みを浮かべた。

「子は無事に生まれる。安心しなさい。」

「…どうして、そんな事が言い切れるのですか?」

膝に置いた拳をぎゅっと握り、セヴィロスが呟けば、リズヴァーンがその頭に手を乗せ、優しく撫で始める。

「望美は、神に愛でられしもの。神に守られているのだ。」

「でも、それだけでは…。」

「そして、私が一生涯、守るものだ。」
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