リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
リズヴァーンが梶原邸の庭に姿を現すと、愉しげな笑い声が、聞こえた。

自然と、その中に望美の声を見つけ、リズヴァーンはゆっくりと歩き出す。

そして、濡れ縁で朔と語り合っている望美を見つけた。

「あっ、先生!」

リズヴァーンの姿に気付いた望美が、うれしそうに手を振り、声を上げる。

その、昔から変わらない様子に、リズヴァーンが苦笑を零した。

「市へは行っていないようだな。」

リズヴァーンが傍により、声をかければ、望美の隣にいた朔が、クスクスと笑い出す。

「ええ。私が止めましたわ。」

「そうか。手間をかけさせた。」

「いいえ。お役に立ててよかったです。」

にこやかに話される二人の会話に、望美は怒ったように頬を膨らませた。

「もう、二人そろって、私を子ども扱いするんだから。」

「あら、そんなことないわ。あなたは立派な母君なのでしょう?」

「でも、笑われている気がする…。」

ふてくされたように言う望美に、リズヴァーンが微かに笑う。

「セヴィロスが、心配をしていた。」

「セヴィは、心配性なんですよ。もう悪阻も終わったから大丈夫って言っても、信じてくれないんですもん。」

リズヴァーンの言葉に、望美はどこかうれしそうな顔をするも、ついて出るのは、やはり子供のような言葉。

それを聞き、朔が小さく笑った。

「それは、しょうがないわよ。お腹の中の子が生まれるのを、一番楽しみにしているのは彼ですもの。」

「え~。一番は私たちですよね?先生。」

「無論。私たちも、心待ちにしている。」

当然とばかりに言われた言葉に、望美は一瞬、「ん?」と引っ掛かりを覚えた。
「…『も』…?」

望美が小首を傾げ、引っかかった言葉を繰り返す。
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