リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
朔が客であるリズヴァーンのお茶を入れに席を立つ。

「望美にも、何か作ってくるわね。」

身重の望美を気遣ってか、朔が一言残すと、望美がうれしそうに「うん。」と返事をした。

そして、軽くリズヴァーンに会釈をして、朔はその場を離れた。

それと同時に、濡れ縁に上がったリズヴァーンが望美の横に座る。

望美は朔の姿が見えなくなると、そっと、その肩に寄りかかった。

そして、二人は欄干の傍で、寄り添うように、整えられた庭を眺める。

その昔、望美幼馴染が整えた庭は、今でも、美しいその姿を残していた。

「…あれからもう、10年経つんですね…。」

庭を見ていて、何かを思い出したのか、望美がポツリと呟き、どこか懐かしそうに目を細める。

リズヴァーンは、静かに望美の声を聞いていた。

「早いですよね。セヴィもおっきくなっちゃって。だんだん、先生に似てくるし。」

うれしそうに望美が笑いながら言うと、リズヴァーンが目元を緩ませた。

「そう、思うか?」

「はい。ときどき先生を育てる気になりますよ。先生もそう、思いませんか?」

望美がゆっくりと、リズヴァーンを見上げ尋ねれば、青い瞳と目が合う。

「セヴィロスは、お前に似ていると、思うが?」

「え~。そうですか?私はあんなに口うるさくないですよ?」

どこか不服そうに口を尖らせる望美に、リズヴァーンが苦笑した。

「それは、私が口うるさいということか?」

「あっ、わかります?」

おどけたように笑う望美に、リズヴァーンが苦笑を止め、ふっと、口元を楽しそうに引き上げた。
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