リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
「だが、10年以上も前に、その口うるさい男の傍にいたいと言ったのは、誰だ?」

ニヤリという表現があっているような笑みを浮かべ、問うてくるリズヴァーンに、望美は少しだけ戸惑う。

だが、すぐに、恥かしそうに視線を彷徨わせた。

そして、仄かに頬を染めながらも、とぼけたような声を出す。

「え…っと。私、かな?」

「ならば、その男の『子』を、二人も宿したのは、誰だ?」

「私……、かも…。」

リズヴァーンが、過去を暴くような事柄を、遠慮せずに話すので、望美はだんだんと顔を真っ赤にさせていく。

「あまつさえ、これからも添うと、言い切ったのは誰だ?」

「…私、…です。」

そして、とうとう、つい最近のことまで持ち出され…。

望美は降参とばかりに、俯く。

だが、リズヴァーンは追い討ちをかけるように、望美の耳元に顔をよせ、囁いた。

「そんな私に惚れたのは、誰だ?」

優しく、愛おしそうに囁く、その低い声に、望美は耳まで赤くして、ぎゅっと目を瞑る。

そして、その胸に広がるうれしさと。

未だ、慣れることのない甘い囁きに耐え切れず、望美はゆっくりとリズヴァーンの肩に自分の額を当てた。

「……私。」

恥かしそうに小さく呟く望美の、赤く染まった頬を隠すように、花色の髪がその顔の横に落ちた。

そんな望美の答えに、リズヴァーンがどこか満足そうに笑いながら、口を開く。

「ならば、多少、口うるさくとも致しかたあるまい?」

念を押すような物言いに、望美は小さく「はい。」と答え、そのまま顔の火照りが引くのを待った。
そんな二人の間の傍で、『しゅん』という音と共に、風が揺れた。
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