リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-
「それよりも母上。もしかして、僕がお腹にいたときも、剣の稽古をしていたんですか?」

眉間に皺を寄せながら、恐る恐る聞いてくるセヴィロスに、望美はきょとんとする。

「うん。当たり前でしょう?」

さも当然とばかりに、望美が言えば、セヴィロスがキッとリズヴァーンを見た。

「本当ですか?」

睨みつけるように見上げてくるセヴィロスに、リズヴァーンが苦笑を零す。

「そうだ。腹が出て、剣が振れなくなるまでだが。」

その言葉に、セヴィロスは唖然とした表情を浮かべた。

「…なんて、無謀なことを…。」

「え…?無謀じゃないよ?」

「無謀です!何処の世界に身重で剣を振る人がいるんですか!?」

セヴィロスは顔を真っ赤にして、望美に怒りをぶつける。

だが、望美はそれに怯むことなく、ニッコリと笑った。

「ココにいるでしょう?」

平然と答えられ、セヴィロスは大きく肩を落とす。

そんな息子の姿を見て、望美とリズヴァーンは目を合わせ、小さく笑った。

「セヴィ。」

望美に優しく声をかけられ、セヴィロスはゆっくりと、視線を母へと向ける。

セヴィロスの顔は複雑そうに歪められていて、なんとも情けないものだった。

それでも、望美は穏やかに口を開く。

「セヴィ、私はちゃんとわかってやってるんだよ?」

「…何をわかっていらっしゃるんですか?」

「赤ちゃんがお腹にいて、剣を振る危険性。」

「なら、何故、止めてくれないのですか?」

今にも泣きそうな顔をしながら、セヴィロスが望美を見つめる。

望美は安心させるように優しく微笑みながら、ゆっくりと口を開いた。
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