◇彩色パズル◇

朝、私はいつもどおり起きた。

校門を一人で通り、後ろから声がする。


「ねぇ待ってよ、竜!」


私の横を早歩きで去って行く竜哉と、それを追う朱莉の姿。


「……」
朱莉の声にまったく耳を傾けようとしない竜哉の姿。


胸が痛む。


竜哉は通り過ぎてから少し私の方へ振り返る。


その視線を追った朱莉は、その視線の先が私だとわかると、私のことを睨んだ。



あぁ、こんなことになったのは自分のせいだ――

そう思った。
< 84 / 92 >

この作品をシェア

pagetop