大切な心
そして、ある日
あの人が貴方の部屋を訪れた。

『俺は京を発つ』

貴方の目を見て真剣な表情で言った。


貴方はどこか安心したような…
嬉しいな表情で口を開いた

『いってらっしゃい。
どうか、死なないでくださいね?
私はもう長くはないので
先に逝きます…。
どうか…決して死に急がないでください。』

貴方はいつもと変わらない笑みを浮かべていた。


ご飯がのどを通らずやせ細った体…。

それでも、生きている。


あの人は肩を震わせながら力強く頷いた。


そして、あの人は京を発った。

それからしばらくして
貴方もこの世を去りました。

安らかな…笑顔のまま…。


最後まであの人を心配していた。

ずっと喧嘩をして
お互いが大嫌い…だったはずなのに

やっぱり、大切な存在だったんですよね…。


どうか…天で皆さんと仲良く…元気でいてくださいね…?

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