推理はラテを飲みながら#00-全ケータイ小説読者への挑戦状-【完】
その前にチラッと目が向けられていた香苗が、ムッとしたような表情を一瞬見せたのを、匠は見逃さなかった。
「あ、あの……アタシは……部屋で、すぐ眠って、ました……」
相変わらずの怯えた表情と仕草、そして口調だった。
「なるほど。じゃあ次は、奥さん」
「お……奥さんじゃ――」
否定しかけたが、宗に何を言っても詮無いと思ったのか、ため息をひとつ吐いてアリバイについてを語った。
「ワタシも部屋にいました。彼女と同じです」
「ずっとか?奥さんは悲鳴をあげた、第一発見者だ。あのときはなんだって、客室の外にいたんだ?」