推理はラテを飲みながら#00-全ケータイ小説読者への挑戦状-【完】
2 Latte:転がる少年
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タッチした親指が離れたところで、大階段の上から「皆さん」と通りのいい男の声が響いた。
「ようこそ我が家へ。そして『謎解きの集い』へ」
灰色のスーツをラフに着こなして参加者を見渡すは、企画した張本人の田中秋。
鼻筋の通った端整な顔立ち、やや長めで襟足の跳ねた髪型は、著者近影で見た姿そのもの。
彼の登場に、階段に座っていた先輩にあたる重鎮作家の宗は、「ようやくお出ましか」と、ジッポを開け閉めしながら煙をふうっと吐き出す。
隅にいた若い女性は、黒髪を弄っていた指を止め、さっきまでの他人を受け付けなさそうな態度から一転、秋に釘付けに。
応募までして参加した者にとっては、秋の存在は大きく、当然と言えば当然の反応だ。