推理はラテを飲みながら#00-全ケータイ小説読者への挑戦状-【完】
1 Latte:親指姫は笑顔で
━━Ⅰ━━
夏の太陽の洗礼を受けながら、バス停から山道を歩くこと25分。
到着した場所は、鉄格子付きのレンガ色の高い塀に囲まれた洋館だった。
「うわ……。おっきいなぁ……」
開かれている門をくぐり抜けた少年は、半袖の白シャツの胸元をあおぎながら、辺りを見回した。
右手に駐車場があり、中央の立木の間をぬった奥に邸宅がある。
「ほらほら。走らないの。すぐ転ぶでしょう、匠」
浮かれる少年――匠の後ろからたしなめるのは、母親の桜庭真紀子(さくらばまきこ)。