推理はラテを飲みながら#00-全ケータイ小説読者への挑戦状-【完】
「こんばんは、ボク。挨拶がまだだったわね。ワタシは田中香苗(たなかかなえ)……ああ、また田中だって思わないように、ふふふ」
見透かしたように、香苗が言った。
バツが悪そうにウェーブのかかった茶色の髪をかいているあたり、今回の「田中」の多さを自覚しているのだろう。
「……田中じゃないのは、ボクとお母さんとお姉ちゃんと、あの人くらいかな」
匠は、ちょうど大階段をのぼってくるところだった、黒髪の若い女性を指さした。
向こうも匠たちに気づいたらしい。
一瞬動きを止めたが、すぐにまたのぼり始めた。