推理はラテを飲みながら#00-全ケータイ小説読者への挑戦状-【完】


「ううん。あの子も田中みたいよ」


香苗が苦笑気味に言った。


匠と姫子が同時に「えっ?」と声をあげる。


作家と編集者たちはさておき、一般応募で当選した人物の3人中2人が田中とは。


――め、面倒くさいっ!!


匠の頭の中で、振った5つのサイコロの出た目は全部「田中」、というイメージが浮かんだ。


「まあワタシも編集者の田中浮夫さんが『田中さん』って声をかけてたのを聞いただけだけど。彼女は人見知りみたいで」


じゃあね、と大階段をおりていく香苗を見送る匠は、何度も違う目を乞いながら頭のサイコロを振り続けた。

< 54 / 258 >

この作品をシェア

pagetop