推理はラテを飲みながら#00-全ケータイ小説読者への挑戦状-【完】
「ううん。あの子も田中みたいよ」
香苗が苦笑気味に言った。
匠と姫子が同時に「えっ?」と声をあげる。
作家と編集者たちはさておき、一般応募で当選した人物の3人中2人が田中とは。
――め、面倒くさいっ!!
匠の頭の中で、振った5つのサイコロの出た目は全部「田中」、というイメージが浮かんだ。
「まあワタシも編集者の田中浮夫さんが『田中さん』って声をかけてたのを聞いただけだけど。彼女は人見知りみたいで」
じゃあね、と大階段をおりていく香苗を見送る匠は、何度も違う目を乞いながら頭のサイコロを振り続けた。