推理はラテを飲みながら#00-全ケータイ小説読者への挑戦状-【完】
「あっ、桜庭先生!」
中から現れたのは、体格のいい40代後半くらいの男性だった。
着ているブレザーとスラックスがどちらも黒で、パッと見、熊のようだと匠は思った。
著者近影などで事前に目にしていた「田中秋」とは、明らかに別人だ。
「ご無沙汰しております、田中さん。でも『先生』はやめてください……。わたしはもう、漫画家じゃないんですから」
「いえいえ。また機会があればご一緒に仕事したいくらいなんですよ。できればうちの先生の原作でふたたび」
「もう画力は落ちてますって」
「またまた。ブランクはセンスで十分取り戻せますよ……ん?」