狼少女
「…奏…」
「へ?…白井??」
…チュッ…
…あれ?
私…今何した?!
「ぅわぁああっ!!~っ!ごめんなさい!!」
「?!白井どっどうしたの!~っ!?」
自分でもびっくりした…
私…尚君にキスしてた。
泣きながら…
私、最低だ…尚君と奏を重ねるなんて。
尚君は口を開けてぽかんとして、手から傘を離した。
そして、一瞬悲しそうな顔をした。
当たり前だよね…
勝手にキスして、尚君をきっと傷つけた。
私達はびしょ濡れだになった。
「…最低だ、私…」
「白井?」
ごめん。尚君。
あなたは一匹狼の私にこんなに優しくしてくれるのに。
「もう…私に話しかけないで…」
「え…白井っ!!?」
私は…誰かを…あなたを信じる事が怖い。
雨の中を泣きながらひたすら走った。
…天気は雨。土砂降りのひだった。