君色の風
「でも、亜樹が陸部だったなんて思わなかったよ」
「まあ、練習なんてあんまやってなかったんだけどね。友達としゃべって終わりとかさ」
「種目はなにやってたの?」
「長距離だよ。1500mが一番多かったかな」
「お、長距離。俺も長距離志望だからこれからはチームメイトだな」
「まだ入るって決めてないけどね」
「いや、そこは入るべきだろ」
「だって練習ちゃんとやってないって言っても陸上の練習ってきついってこと知ってるからさ」
中学のときは確かにほとんどおしゃべりで終わってしまっていた。
しかし、夏休み中の練習ともなると顧問の先生もちゃんとグランドに出てきてきつい練習をするのだ。
あの炎天下での100m10本全力ダッシュは命懸けのような練習だった。
「とりあえず、練習見てからっしょ」
陸上部の練習を見に行くことにした俺と渉はグランドへと向かう。
グランドにはもう陸上部やサッカー部などが練習していて、いかにも高校って感じだった。
これが青春ってやつなのかな?
青春っていう言葉事態は知ってるけど、それがどういうものというのは体験したことがない。
みんなで汗を流したり、甘酸っぱい恋をしたり色々想像はしてみたりするけれど結局は想像の中での産物でしかない。