ナツメくんの人気者理論【完】
『オレ…ひとまず、引き取るよ』
気づいた時にはそんなことを口から出していた。
『え…?いいの?』
オレがそう言った途端、女の子の顔がパアッと明るくなる。
『うん、母さんも動物好きだし…』
『ふふ、キミにならこの子たち任せても安心だ…ありがとうね』
優しく微笑む女の子の姿にオレも自然と笑みが浮かんだ。
『じゃ、私帰るね…猫ちゃんたち…よろしくね?』
『あぁ、もちろん!』
ヒラヒラと手をふって去ろうとする女の子に対し、気付いたらオレは、大声で叫んでいた。
『あんた、名前なんて言うの?』
『里緒!朝比奈里緒!』
朝比奈…里緒。
オレは、心の中にその名前を刻みこんだ。
…また会えるていいな…。
そんなことを思いながら…。