ナツメくんの人気者理論【完】
……――――
『さてと…、まずは、里緒に少し昔の話をしなくちゃいけないわね…』
薫ちゃんは、にっこりと微笑みながらそう言った。
…昔の話?
きょとんとした表情を浮かべる私。
『いい?今から話すのは、私たちの中学時代の話…ナツメから詳しく聞いたことある?』
薫ちゃんの問いに私は、
『ううん…聞いたことない…』
ふるふると首を横にふりながらそう呟いた。
言われてみれば、私は、ナツメくんの過去を何一つ知らない。
『ふ〜ん、やっぱりねぇ…』
そう言って、ため息をついた薫ちゃんは、おもむろにナツメくんの…そして、彩香さんのことを話はじめたのだった。