ナツメくんの人気者理論【完】
ま、ナツメは、彩香が自分に好意を寄せているなんてこれっぽっちも思ってないだろうけど…
私は、ナツメを見て軽くため息をついた。
『あ、あの…綾人くん、私、実は…昨日家でクッキー作ったんだけど、よかったらどうぞ…あ、薫ちゃんも』
そう言って、彩香はカバンの中からおそるおそるクッキーらしき包みを取り出す。
『え?マジ?オレもらってもいいの?
…コイツ…食い物につられやがって…てゆうか…私はナツメのおまけかい!?
『あ、ありがとう』
思わず、笑顔が引きつってしまったが、なるべく優しい口調で私はその包みを受け取った。