ナツメくんの人気者理論【完】
『はぁ、はぁ…』
走って、走って…私がたどり着いたのは屋上だった。
『…ナツメくん…』
彼のことを考えるだけで、じわっと涙が目に浮かんでくる。
『諦めなくちゃ…ナツメくんの幸せを考えなきゃダメだ…』
そう思って、私が涙を拭った、
その時、
バンッ!
『…っ…里緒』
『な、なんで…?』
ものすごい勢いで屋上の扉を開け、私の名前を呼ぶナツメくん。
その額には汗がにじんでいる。