ナツメくんの人気者理論【完】
『うん!』
ニコニコと、そう言って笑う薫ちゃん。
『…あのさ、薫ちゃん…好きってどういう気持ち…?私、よくわからなくて』
『好き?そうね…胸がギューッと苦しくなったり、その人のことを、いとおしいって思ったり…かな?』
胸がギューッと…?
ふと、ナツメくんの顔が浮かぶ。
『…まぁ、一般論だけどね?…そう言えば、里緒ちゃんは、ナツメとは、男子なのに普通に話してるみたいだけど…ナツメは好き?』
『…うん、ナツメくんはすっごくいい人だから好きだよ?好きっていうより尊敬かな?』
『尊敬…?』
薫ちゃんが不思議そうに首をかしげる。
『うん!実は、ナツメくんと友達になる前から…ね?いっつも、みんなと仲良くて私もナツメくんみたいになれたらな〜って…だから、ナツメくんは、男の子だけど…周りの人たちとは、違う感じがするのかもしれない』
『…う〜ん…それは、ビミョーね、ナツメ…どんまい』
薫ちゃんが、ポツリと呟いた言葉は、私には聞こえてこなかった。