ナツメくんの人気者理論【完】




『うんっ!薫ちゃん!ありがとう』



『ふふ、ほら行こう?』




そう言って私に手を差し出す薫ちゃん。




私は、その手をしっかりと握り締めた。










―――






『……何なのナツメのやつ…』



隣からイライラとした薫ちゃんの声が聞こえてきた。



『はぁ…』



私も軽くため息をつく。



ナツメくん…私と会いたくなかったのかな…。


そんなことを考えると気が重くなった。


『…あいつ…女の子を何分待たせる気なわけ…?』



携帯を開きながらまた薫は、声をあげている。






そう、なぜ薫ちゃんがこんなにもイライラしているのかというと…………なぜか…ナツメくんが約束の時間を30分以上過ぎているのに一向に姿をあらわさず、連絡もつかないから。





< 55 / 201 >

この作品をシェア

pagetop